日々のアイデアとか妄想置き場

日めくり服薬カレンダー

実はこの日めくり服薬カレンダーはシンプルな理由ではなく いろんな状況や理由が重なったことで開発がすすんだ。

まずは、薬剤師不足と在宅訪問の効率化
そして、在宅訪問での調剤ミス管理
さらに、患者とのコミュニケーションの充実

この3つがポイントになってこのツールができあがった。

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まずは背景として薬局薬剤師の問題の一つに一人薬剤師問題がある。

勤務薬剤師の人数別の薬局数割合(常勤換算後) 2010年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査では、3割近くが一人薬剤師というデータもある。

鹿児島に至っては調査したところ約7割が1人〜2人未満の薬局だった。

名称未設定

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000127vk-att/2r9852000001283s.pdf

ふと気になる患者のために訪問し始めたのがきっかけで在宅への足を踏み入れたのだが、これがなかなか効率がよくなかった。

基本的にはお昼休憩など他業務の空いた時間帯に随時訪問をしていたのだがやはり一人薬剤師なので時間制限がある。

かなり効率よく動かなければならない。

ただ単に持っていけば良いと割り切ればいいのかもしれないけれども、せっかくの訪問をただの配達で済ませたくはなかった。

そこで訪問にかかる時間の効率化という観点から、まずは動き始めた。

*とある開発のもとになった認知症患者さん。

老々介護で夫婦で生活していた。奥様は脳梗塞後遺症で半身麻痺。奥様のお薬もご主人が管理していたのだけど、ご主人の認知症症状が悪化するとふたりとも飲めなくなるという問題を抱えていた。

なにのツールも使っていない時、残薬は14日おきの訪問で平均的に4〜5日分残薬がある状態だった。

 

そこで家族のサポートをお願いして

ウィークリーカレンダーで内服薬をセット。

しかし途中、家族の問題から同居していた娘さんたちが別居になった。

患者は今までは家族サポートがありウィークリーカレンダーでしっかり服用できていたのだが、サポートしてくれる家族がいなくなると途端に飲めなくなった。

 

また残薬が平均4〜5日分でるような感じになった。

その時の状況としては、認知症症状が進み、ウィークリーカレンダーの真ん中、水木金くらいのところを飲んでしまったらあとは、飲まなかったり虫食い状態だったりした。

毎日私が訪問するわけにもいかず、かといってもヘルパーさんはずっといるわけでもなく、家族のサポートも得られない状況。

よくあるような対策でウィークリーカレンダーの表示をカスタマイズしてみたり(通常、月〜日曜を訪問する木曜日をスタートにして、木〜水曜というような並びに)

頓服薬は効果を大きく記載した薬袋を用意して押しピンで止めたりした。

そこでとあることに気がついた。ウィークリーカレンダーが普通の自宅にあるだろうか?

普通の家庭には「月間カレンダー」もしくは「日めくりカレンダー」だろうとおもう。

ウィークリーカレンダーはそんなに見ることはないですし、あっても手帳のリフィルとしてみるくらい。

月間カレンダーにお薬を用意するには難しいけれど、日めくりのカレンダーにお薬を用意すると想像するのは容易だった。

ためしに、手描きの日めくり服薬カレンダーでもっていったところ14日間で1〜2日の残薬になった。

たしかな手応えを感じたのでファイルメーカー(当時のバージョンは10)で簡単なカレンダー作成プログラムをつくってA4用紙に大きなフォントで印刷されるものを作った。

これに、あさ、ひる、ゆうの一定のテンプレートを作成して、この患者さん専用の日めくり服薬カレンダー第一号が完成した。

さて、開発にはもうひとつの伏線がある。

実は在宅訪問をするたびに、しっかりとセットしただろうか?と悩むことがあった。

その度に患者宅を再訪問して確認をしたり間違えているのではないかと不安になることが多々あった。実際に間違えてセットしていることもあれば、ただの取り越し苦労のことも多かった。

夜中にふと気になった時は眠れなくなったり精神衛生上よくない状況だった
このような不安や無駄な時間をどうにか避けなければいけない。

この原因は患者さんとコミュニケーションを取りながら薬をセットするという手法に問題があると考えた。

セットしながらの会話は結局うわのそらなところがあったり、またセットも確実にできていなかったりだったので

とりあえずは薬局ですべてセットして、もっていって交換するという手法に切り替えた。

他のスタッフも巻き込んで、セット時に確実な監査を行いもっていって思い切りコミュニケーションしていく。

日めくりの服薬カレンダーは視認性もよく監査もしやすいので薬局でセットしてもっていくとものの数分で設置がおわるのでコミュニケーションへの時間を多く取れるようになった。

訪問時間外でカレンダーを作成し、スタッフにも確認を手伝ってもらって万全の準備ができた状態で訪問する。

自分自身の安心感から患者とのコミュニケーションにも熱が入ります。

雑談の質を測定することはできませんが、セットしながらのだらだらとした雑談よりもよい雑談ができてると実感している。

 

参考:注意力テスト

(一つのことに集中すると、本当の大事なことを見逃すおそれがあります。注意力テストの動画を是非参照してみてください。 Youtube で 2000万回近く再生されている動画です。  http://youtu.be/Ahg6qcgoay4)

 

*多職種連携にもよい

日めくり服薬カレンダーを使用して、多職種との連携もうまくいった。

デイサービス職員が迎えにいったときに薬の確認を依頼することがあったのだが、日めくり服薬カレンダーで一瞬で判断できるようになった。

また、残薬があった場合ものんでいないシートを回収するだけでよいのですぐにおわる。

 

後日、開発のきっかけになった患者宅には幸いな事に患者家族が顔をだすようになってくれた。(別居状態はかわらないものの週に1〜2会はきてくれるようになった。)

帰ってきた家族からも、すごく喜ばれた。

壁一面のウィークリーカレンダーやその他のもので飲めていなかったことを親に伝えるのが嫌だったとのことだった。

 

それが、コンパクトな日めくりのカレンダーになることで部屋がすっきりしてさらに飲めているので文句をいわずに済むようになったとのことだった。

 

僕らは、ウィークリーカレンダーなどで、ここまでやっていれば家族やヘルパーは「楽に」飲ませれるだろうと考えていたが実はまったくできていなかったわけだ。

 

日めくりのカレンダーになることで、この患者や家族はすこし「楽」になることができた。

患者家族にかかっていた作業を軽減することで、患者家族が患者と向き合える時間ができたのでした。

 

ただ問題点もある

一包化にも言えることだったりするのだけど、「いったい何を飲んでいるのか」わかりづらいということ。

 

知らないで飲む。これは人間の尊厳としてはどうだろう?

 

患者さんは訪問後は忘れてしまって毎回同じようなことを聞いてくる。

認知症だから、ご高齢だから、、、と諦めていたらそこで終了のような気がする。

 

できることからはじめようと日めくり服薬カレンダーも進化させてコメント欄をつけたりした。

大きな改良ではなく、その人に合わせてすこしずつ調整していく

それまで薬に興味がなかった患者も、これは何の薬?と知的欲求も垣間見せることがある。

 

すこしずつの進化で現在はこのような形になっている。

 

*別な患者では失敗事例もあった。

お薬を残す患者さんの相談をうけたので、その当時、日めくりカレンダーの成功で調子づいていた私はすぐに日めくりを提案したが、みごとに失敗しさらにのまなくなってしまった例があった

 

この患者さんは、実は薬の量や効能に恐怖を感じていたのだった。

日めくり服薬カレンダーをセットしたにもかかわらず、翌週行くと全然のめていなかった。

 

3回めの訪問時にカレンダーを差し替えにいって、お話を伺ったところ・・・

「俺を責めるのか!」と怒鳴られた。

毎日、何のくすりかわからずに飲まされる。量もおおい。味もいやそんな不満があったものを「飲め」「飲め」と無理やり飲まされているように感じさせてしまっていたのでした。

とても深く反省をした例だった。

 

*残薬へのアプローチを考える切っ掛けに

この日めくり服薬カレンダーの失敗をきっかけに、残薬問題へのアプローチを考えるようになった。

日めくり服薬カレンダーが有効な人はどんな人だろうと考えたとき

なんらかの影響で「習慣化」ができてない・できない人へ良いと考えた。

例えば、認知症もしくは混乱しやすい方で十分な家族やヘルパーのサポートが受けれない人。

またメトトレキサート・ビスホスホネート系薬剤などの服用日の難しいものなどにも有効。

ただ、前述のように副作用(実際の副作用があったか否かは問題でなく)情報に敏感だったりなど心理的な恐怖感からの拒薬については逆効果になってしまう。

また、心理的な安心感のあるかた。つまり、もらって安心という方にも向かないだろう。

また、剤形が問題だった場合もよくよくインタビューしてみないとわからないことも多い。

まだまだ完成形ではないが残薬問題をまとめたものを添付するので参考にしてもらいたい。

 

このような活動から服薬カレンダー以外にも、どうアプローチすればよいかが少し見えてきた。

闇雲な情報提供でなく患者個々の問題に照らし合わせて残薬対策やツールの作成をしていきたいと思う。

残薬問題まとめ

自覚 心理的 不安 恐怖感(実際は起きてない・過去に起きたことがある・信条・宗教)
治療効果への不安なども
メディア・情報によるバイアス(感情的な理由)
◯◯によく思われたいから飲まない。
安心 ◯◯によく思われたいからもらう。
もらって安心・恐怖感の欠如(飲んでも・飲まなくても大丈夫)
物理的 剤形・味・臭い 飲みにくい
包装 あけにくさ モノ自体があけにくい
疾患に関連した事例*
実際の副作用問題 医師による処方中止
自身の判断で処方中止 口渇などのみづらさの発生
口腔内の色の変化・尿・便の着色
治療効果不足による不信
疾患関連* 見えない
見えづらい 白内障
色覚異常
開けられない 麻痺
飲み込めない 浮く薬・沈む薬
外用薬を貼れない・塗れない・注射薬を使用できない
時間 ライフスタイル 仕事が不規則
朝食後 朝ごはんを食べない
起床時間
昼食後 持ち歩かない
夕食後
アルコール等との併用の不安
就寝時間
イベント 冠婚葬祭・旅行など*
未習慣化
知識問題 識字 なにの薬かわからない*
自身の判断 自身の判断で飲むものを決めている
完治したと思ってる*(ロジックな理由)
メディアによるバイアス(ロジックな理由)
無自覚 混乱 知識 なにの薬かわからない*
整理できない
物理的 開けにくい
整理しにくい
急なイベント 冠婚葬祭・旅行など*
認知症 サポート不在
習慣化困難

 

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