日々のアイデアとか妄想置き場

かかりつけ薬剤師時代の薬局のあり方か・・・・

患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

 

の中の気になるところ

◯このような薬局の業務実態等を踏まえると、かかりつけ薬剤師がその役割を発揮し、患者が医薬分業のメリットを十分に感じられるようするためには、組織体としての薬局が以下のような業務管理を行うことが求められる。

服薬指導等を行う薬剤師の担当制などの適切な勤務体制の確保
イ薬剤師の育成・資質確保(患者とのコミュニケーション能力や在宅対応に関する研修等)
ウ医療機関を始めとした、関係機関との連携体制の構築
調剤事故やインシデント事例の発生を防ぐための安全管理体制の確保

24時間対応だけれども、服薬指導をする時間は限定してもよい?
主にこの時間対応みたいな感じかな?

安全管理体制のためにテクニシャンとか考えちゃうんだけど
やっぱり人だと違法性が問われるから機械化かなぁ

あとこれも気になる

かかりつけ薬剤師をやるのが先か、経営者が思い切ってテクニシャンいれるか、それとも機械化か

 

第1 はじめに

1 医薬分業のこれまでの経緯

◯医薬分業とは、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し国民医療の質的向上を図るものであり、医師が患者に処方箋を交付し、薬局の薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行うことで有効かつ安全な薬物療法の提供に資するものである。
(平成 26 年版厚生労働白書など)

◯我が国では、医薬分業の推進により、処方箋受取率(外来患者に係る院外処方の割合を示すいわゆる医薬分業率)が昭和50年頃から徐々に上昇し、平成26年度には68.7%に至っている。

*社会保険診療報酬支払基金統計月報及び国保連合会審査支払業務統計を基に日本薬剤師
会が集計したものであり、薬局で受け付けた処方箋枚数÷(医科診療(入院外)日数×
医科投薬率+歯科診療日数×歯科投薬率)により算出される。

◯医薬分業の意義としては、薬局の薬剤師が患者の状態や服用薬を一元的・継続的に把握し、処方内容をチェックすることにより、複数診療科受診による重複投薬、相互作用の有無の確認や、副作用・期待される効果の継続的な確認ができ、薬物療法の安全性・有効性が向上することがまず挙げられる。
例えば、処方内容のチェックに関しては、薬局が受け付ける年間7.9億枚の処方箋のうち約4,300万枚相当の処方箋について薬剤師から医師への疑義照会が実施されている(平成 25 年度厚生労働省保険局医療課委託調査「薬局の機能に係る実態調査」)。
また、院内処方に比べ、患者が薬をもらうための待ち時間の短縮が図られるとともに、薬の効果、副作用等について丁寧な服薬指導が可能となっている。さらに、約9割の薬局は交付する医薬品の減量を行っており、そのきっかけは薬剤師から患者への提案が約4割であるなど、残薬の解消にも貢献している。

*残薬を放置しておくことは、患者が服用すべき薬と混同する等安全性上の懸念がある。
平成 25 年度厚生労働省保険局医療課委託調査「薬局の機能に係る実態調査

◯また、後発医薬品の使用促進や、薬剤師の在宅医療への積極的な取組、専ら医学的観点からの処方の推進が図られることにより、医療保険財政の効率化等にも貢献している。
例えば、薬局における後発医薬品の使用割合が上昇しているが(平成25年4月:46.5%→平成27年3月:58.4%)、患者が後発医薬品に変更したきっかけは、約7割が薬剤師からの説明となっている
(後発医薬品の置換えによる適正化額の推計は約4,000億円(平成23年度)。
また、在宅医療での残薬管理により、薬剤費の削減効果が見込めるとの報告(後期高齢者で推計約400億円)がある。

*「平成 26 年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査「後発医薬品の使用促進策の影
響及び実施状況調査」」
*平成 25 年 11 月 20 日中央社会保険医療協議会薬価専門部会資料
*平成 19 年度老人保健事業推進費等補助金「後期高齢者の服薬における問題と薬剤師の
在宅患者訪問薬剤管理指導ならびに居宅療養管理指導の効果に関する調査研究」

2 医薬分業に対する指摘及び規制改革会議等の動き

◯上記のように、薬物療法の安全性・有効性の向上やそれに伴う医療保険財政の効率化といった医薬分業の意義は大きく、処方箋受取率は一貫して上昇してきた。しかしながら、その一方で、患者が受診した医療機関ごとに近くの薬局で調剤を受ける機会も多い中、医薬分業における薬局の役割が十分に発揮されていないとする指摘も見られた。

◯平成27年3月の公開ディスカッションを契機に、規制改革会議の第三期の検討において、「医薬分業推進の下での規制の見直し」が取り上げられたが、その議論においても、以下のような問題が指摘された。・医療機関の周りにいわゆる門前薬局が乱立し、患者の服薬情報の一元的な把握などの機能が必ずしも発揮できていないなど、患者本位の医薬分業になっていない。

・医薬分業を推進するため、患者の負担が大きくなっている一方で、負担の増加に見合うサービスの向上や分業の効果などを実感できていない。

◯こうした問題に対応するため、「規制改革に関する第3次答申」(平成27年6月16日規制改革会議)や「規制改革実施計画」(平成27年6月30日閣議決定)では、以下のような内容が盛り込まれた。

・地域包括ケアの推進において、薬局及び薬剤師が薬学的管理・指導を適切に実施する環境を整える観点から、かかりつけ薬局の要件を具体的に明確化するなど、薬局全体の改革の方向性について検討すること。

・薬局の機能やサービスに応じた診療報酬となるように、調剤報酬の在り方について抜本的な見直しを行い、サービスの質の向上と保険財政の健全化に資する仕組みに改めること。
門前薬局の評価を見直すとともに、患者にとってメリットが実感できる薬局の機能は評価し、実際に提供したサービスの内容に応じて報酬を支払う仕組みに改めるなど、努力した薬局・薬剤師が評価されるようにすること。
・薬局においてサービス内容とその価格を利用者に分かりやすく表示し、利用者が薬局を選択できるようにすること。
・今後の医薬分業推進における政策目標や評価指標を明確化し、PDCAサイクルでの政策評価を実施し、制度の見直しに反映させること。

◯また、以下のような問題など、国民からの薬剤師・薬局への信頼を揺るがしかねない事案も発生しており、薬剤師・薬局のあり方自体が大きく問われる状況となっている。

・薬局において、薬剤服用歴を記録することなく診療報酬上の薬剤服用歴管理指導料を算定していたとされる薬剤服用歴(薬歴)の未記載問題。

関係団体における自主点検の結果、平成26年に算定された処方箋について、1,220の薬局で81万件超の薬剤服用歴の未記載が確認された。
・薬局において、薬剤師以外の者が軟膏剤の混合を行っていたとされる無資格調剤問題
*薬局における調剤業務については、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第19条により、薬剤師でない者が、販売又は授与の目的で調剤してはならないとされている。

3 薬局ビジョン作成の趣旨

◯こうした状況を踏まえ、平成27年5月26日の経済財政諮問会議において、厚生労働大臣から、医薬分業の原点に立ち返り、57,000の薬局を患者本位のかかりつけ薬局に再編するため、年内に「患者のための薬局ビジョン」を策定する旨が表明された。
また、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)においても、かかりつけ薬局の推進のため、薬局全体の改革について検討することが明記された。

◯本ビジョンは、上記の経緯を踏まえ、患者本位の医薬分業の実現に向けて、かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を明らかにするとともに、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年、更に10年後の2035年に向けて、中長期的視野に立って、現在の薬局をかかりつけ薬局に再編する道筋を提示するものである。

◯ここで、「患者のための」としているのは、本ビジョンが「患者・住民にとって真に必要な薬局の機能を明らかにする」ものであるとともに、医薬分業が本来目指す、患者・住民が医薬品、薬物療法等に関して安心して相談でき、患者ごとに最適な薬物療法を受けられるような薬局のあり方を目指すことを指している。

◯患者本位の医薬分業を実現するという本ビジョンの趣旨・目的に即し、ビジョン全体を貫く基本的な考え方は、以下の通りである。

①~立地から機能へ~・いわゆる門前薬局など立地に依存し、便利さだけで患者に選択される存在から脱却し、薬剤師としての専門性や、24時間対応・在宅対応等の様々な患者・住民のニーズに対応できる機能を発揮することを通じて患者に選択してもらえるようにする。

②~対物業務から対人業務へ~・患者に選択してもらえる薬剤師・薬局となるため、専門性やコミュニケーション能力の向上を通じ、薬剤の調製などの対物中心の業務から、患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトを図る。

③~バラバラから一つへ~・患者・住民がかかりつけ薬剤師・薬局を選択することにより、服薬情報が一つにまとまり、飲み合わせの確認や残薬管理など安心できる薬物療法を受けることができる。

・薬剤師・薬局が調剤業務のみを行い、地域で孤立する存在ではなく、かかりつけ医を始めとした多職種・他機関と連携して地域包括ケアの一翼を担う存在となる。

第2かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿

1かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき機能
(1)かかりつけ薬剤師・薬局の意義
◯医薬分業の本旨は、薬剤師による処方内容のチェックを通じた医薬品の適正使用である。薬物療法の有効性・安全性を確保するためには、服薬情報の一元的・継続的な把握等が必要であることからすると、かかりつけ薬剤師・薬局は医薬分業の原点そのものであると言える。

◯複数の医療機関・診療科を受診した場合でも、患者が日頃からかかりつけとなる薬剤師・薬局を選び、調剤を受けることで、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われ、医薬分業が目指す安全・安心な薬物療法を受けることが可能になる。

◯こうした医薬分業の本旨を踏まえると、かかりつけ薬剤師・薬局は、地域における必要な医薬品(要指導医薬品等(医薬品医療機器法上の要指導医薬品及び一般用医薬品を指す。)を含む。)の供給拠点であると同時に、医薬品、薬物治療等に関して、安心して相談できる身近な存在であることが求められ、また、患者からの選択に応えられるよう、かかりつけ医との連携の上で、在宅医療も含め、患者に安全で安心な薬物療法を提供するとともに、地域における総合的な医療・介護サービス(地域包括ケア)を提供する一員として、患者ごとに最適な薬学的管理・指導を行うことが必要である。

◯薬剤師・薬局は、本来、高い倫理性と使命感を持ち、公共性を発揮することが求められている存在であることを忘れてはならない。
薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保することが求められているが(薬剤師法(昭和35年法律第146号)第1条)、医療法(昭和23年法律第205号)において、薬剤師は医師や歯科医師、看護師とともに「医療の担い手」として明記され、医療の基本理念に基づき、患者に対して良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならないこととされた。
さらに、平成25年の薬剤師法の改正により、薬剤師に対する調剤時の患者等への服薬指導義務が導入されたことは、「医療の担い手」としての位置づけが一層明確にされたものである。

◯同じく医療法において、薬局は病院や診療所と同様「医療提供施設」とされ、地域医療における法律上の責務が課されている。その具体的な形の一つとして、地域包括ケアシステムの一員として、患者の状態の継続的な把握、服薬情報等に関する処方医へのフィードバック、残薬管理や処方変更の提案等を通じて、地域の医療提供体制に更に貢献することが期待されていることを、薬局開設者や薬局の管理者である管理薬剤師は肝に銘ずるべきである。

薬局開設者と管理薬剤師は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器法」という。)に定められた責務を改めて自覚し、個々の薬剤師がこうした活動が容易にできる環境整備に努めなくてはならない。

◯保険薬局及び保険薬剤師については、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)上、療養の給付あるいは調剤に当たり、健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならないとされている。

国民医療費において、調剤技術料が1.8兆円、薬剤料が5.4兆円に達し(「調剤医療費(電算処理分)の動向~平成26年度版~」(厚生労働省))、公的保険制度の運営に対する責務も増しており、流通改善を始めとする保険事業の適正な運営に資する取組を率先して行うことが求められる(「医療用医薬品の流通改善の促進について(提言)」(平成27年9月、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会)参照)。

◯薬剤師が、「かかりつけ」としての役割・機能を発揮するためには、調剤業務など薬局内業務だけではなく、在宅医療やアウトリーチ型健康サポートなど薬局以外の場所での業務を行う必要があるが、こうした業務を成功させる基盤として、かかりつけ医を始めとした多職種・他機関と連携することはもとより、積極的に地域活動に関わり、地域に溶け込み、信頼を得る必要がある。

(2)かかりつけ薬剤師とかかりつけ薬局の関係

◯医薬分業のメリットを改めて患者の立場から説明すると、以下のように示すことができる。

ア服用歴や現在服用中の全ての薬剤に関する情報等を一元的・継続的に把握し、次のような処方内容のチェックを受けられる

・複数診療科を受診した場合でも、多剤・重複投薬等や相互作用が防止される。
・薬の副作用や期待される効果の継続的な確認を受けられる。

イ在宅で療養する場合も、行き届いた薬学的管理が受けられる。

ウ過去の服薬情報等が分かる薬剤師が相談に乗ってくれる。また、薬について不安なことが出てきた場合には、いつでも電話等で相談できる。

エかかりつけ薬剤師からの丁寧な説明により、薬への理解が深まり、飲み忘れ、飲み残しが防止される。これにより、残薬が解消される。

◯患者がこうした医薬分業のメリットを享受できるようにするためには、薬局において、単に服薬情報を管理しているだけではなく、患者の過去の副作用情報の把握や在宅での服薬指導等、日頃から患者と継続的に関わることで信頼関係を構築し、薬に関していつでも気軽に相談できる、かかりつけ薬剤師がいることが重要である(かかりつけ薬剤師については、「地域の住民・患者から信頼される『かかりつけ薬剤師』『かかりつけ薬局』の役割について」(平成27年9月日本薬剤師会)においても同様の定義づけが行われている)。

また、薬剤師としても、かかりつけとしての役割の下で、患者の生活を支える専門職としての覚悟を持ち、24時間対応や在宅対応を含めた臨床の担い手となることが強く求められる。

◯一方で、多くの薬局では、複数の薬剤師が勤務し、組織として業務が行われている(平成24年度診療報酬改定結果検証に係る特別調査(平成25年度調査)によると、常勤換算した場合の1店舗あたり薬剤師数が2人以上の薬局は65.6%)。

また、医薬品医療機器法においても、薬局については、管理薬剤師が、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、薬局開設者に必要な意見を述べながら、勤務薬剤師等の監督や薬局の構造設備及び医薬品等の管理を行うなど薬局の業務について必要な注意を行うこととされ、また、薬局開設者は管理薬剤師の意見を尊重することとされている。

さらに、薬局開設者は、医薬品の管理の実施方法に関する事項や医薬品の販売・授与の実施方法について定められた遵守事項に沿って薬局の運営を行う必要があり、このほか保健衛生上の危害防止の観点から、薬局の構造設備や業務体制に関する基準も定められているなど、薬剤師が調剤や服薬指導等を行う場所としての薬局自体の適切性が求められている。

◯このような薬局の業務実態等を踏まえると、かかりつけ薬剤師がその役割を発揮し、患者が医薬分業のメリットを十分に感じられるようするためには、組織体としての薬局が以下のような業務管理を行うことが求められる。

ア服薬指導等を行う薬剤師の担当制などの適切な勤務体制の確保
イ薬剤師の育成・資質確保(患者とのコミュニケーション能力や在宅対応に関する研修等)
ウ医療機関を始めとした、関係機関との連携体制の構築
エ調剤事故やインシデント事例の発生を防ぐための安全管理体制の確保

〇また、その構造設備等に関しても、来局者がかかりつけ薬剤師に気軽に相談できるスペースの確保や、患者の医薬品ニーズに適時適切に対応できるようにするための必要な医薬品の備蓄・保管、品質管理等を行うことが求められる。

◯かかりつけ薬剤師を配置し、その機能を発揮させるためには、薬局が組織体として上記のような業務管理体制や構造設備等を有していることが不可欠であり、こうした機能を持つ薬局がかかりつけ薬局と位置づけられる。

(3)かかりつけ薬剤師・薬局が必要となる患者像
◯かかりつけ薬剤師・薬局の意義を踏まえれば、高齢者をはじめ、生活習慣病などの慢性疾患を有する患者、重篤あるいは希少な疾患等で高度な薬学的管理が必要な患者、妊婦や乳幼児など、服薬情報の一元的・継続的な把握の必要性が高い患者については、特に、かかりつけ薬剤師・薬局を自ら選択してもらうことが重要である。

〇また、生活習慣病の予備群を始め日常の健康管理が求められる層にとっても、要指導医薬品等や健康食品の安全かつ適正な使用に関する助言や、日頃からの健康管理に関する支援を受けるため、かかりつけ薬剤師・薬局を選ぶことが望ましい。

◯住民自らがかかりつけ薬剤師・薬局を選択することを当たり前なものとして普及・定着させていくためには、医薬関係団体や保険者等とも連携・協力し、医薬分業の意義や、そのメリットを享受するためにかかりつけ薬剤師・薬局を選ぶことの必要性を積極的に周知することが求められる。
また、患者がかかりつけ薬剤師を選択するに当たっては、当該薬剤師の勤務状況等を適切に情報提供すること等により、患者が自らの希望に応じて適切にかかりつけ薬剤師を選択できるよう配慮することが必要である。

◯このように、かかりつけ薬剤師・薬局は、個々人のニーズやライフスタイル、治療中の主な疾病等に応じて患者自らが選択するものであり、身近な地域のみならず職場の近くや医療機関の近隣であっても、下記(4)で示すような機能を有する場合は、かかりつけ薬剤師・薬局となり得る。
ただし、今後高齢化が更に進展する過程で、高齢者を始めとする住民の多くが、地域で在宅医療を含めた必要な医療や在宅介護サービスを受けるようになることを考慮すると、地域包括ケアが推進される中で、やがては多くの住民が地域の身近な薬剤師・薬局をかかりつけ薬剤師・薬局として選択していくことになると考えられる。

(4)かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき3つの機能

◯薬剤師・薬局においては、上記(3)で示したような様々な患者像からのかかりつけのニーズに応えられるよう、今後の地域包括ケアシステムの構築に合わせて、かかりつけ薬剤師・薬局として以下の機能を備えていくことが必要である。

①服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導
◯患者が副作用等の継続的な確認を受けられたり、多剤・重複投薬や相互作用が防止されるようにするためには、かかりつけ薬剤師・薬局に、服薬情報を一元的・継続的に把握してもらい、それに基づき適切な薬学的管理や指導を受けることが非常に重要である。

◯このため、かかりつけ薬剤師・薬局は、主治医(診療報酬の地域包括診療料・地域包括診療加算においては、医療機関は、①他の医療機関と連携の上、患者がかかっている医療機関を全て把握するとともに処方されている医薬品をすべて管理し、カルテに記載すること、②院外処方を行う場合には、当該患者が受診している医療機関のリストを処方せんに添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと等が算定要件とされている。)との連携、患者に対する丁寧なインタビュー、患者に発行されたお薬手帳の内容の把握等を通じて、当該患者がかかっている全ての医療機関を把握し、要指導医薬品等を含めた服薬情報を一元的・継続的に把握するとともに、それに基づき適切に薬学的管理・指導が行われるよう、薬歴への記録を含めて取り組むことが不可欠である。
その際、患者に対しては、お薬手帳の意義・役割を説明し、その活用を促すとともに、一人の患者が複数のお薬手帳を所持している場合には、お薬手帳の一冊化・集約化に努めることが必要である(調剤報酬の薬剤服用歴管理指導料の算定要件においては、「保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものも含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合は患者の意向を確認した上で、できるだけ同一の手帳で管理できるよう、保険薬局は1冊にまとめるなどに努める。」とされている)。

◯また、かかりつけ薬剤師・薬局を選んでいない患者に対し、その意義・役割や適切な選び方を説明したり、かかりつけ薬剤師を適切に選択できるような業務運営体制を整備することにより、かかりつけ薬剤師・薬局を選ぶよう促す取組が重要であるとともに、かかりつけ薬剤師・薬局以外で薬剤が交付される場合には、かかりつけ薬剤師・薬局における服薬情報の一元的・継続的把握等が可能となるよう、適切に協力することが望まれる。

②24時間対応・在宅対応
◯地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師は、薬局の開局時間内に限らず薬物療法に関する相談を患者から受けたり、場合によっては調剤や在宅対応を求められることが想定される(薬局が備えるべき機能として、休日・夜間でも開局又は対応するなど地域のニーズに応じた体制がとられていることが「とても重要」又は「重要」と考える患者は61.5%にのぼる(平成26年度厚生労働省保険局医療課委託調査「薬局の機能に係る実態調査」)。また、75.5%の薬局が時間外/深夜/休日の調剤依頼に対応しており、このうち1ヶ月間で実際に対応した薬局は62.8%にのぼる(件数ベースでは時間外50.0%、深夜5.0%、休日30.5%であり、深夜に調剤を行うケースは少ない)(平成23年度厚生労働省保険局医療課委託調査「薬局のかかりつけ機能に係る実態調査報告書」))。薬局としても、かかりつけ薬剤師がこうした対応を行えるよう、地域包括ケアの一環として、夜間・休日を含め、電話相談や調剤等の必要な対応(24時間対応)を行う体制を確保することが求められる。

◯24時間対応については、およそ20年前から、保険診療における貢献の評価の一指標として、薬局における「開局時間外の対応」が位置づけられており、これまでの取組を通じ、既に半数以上の薬局において夜間・休日の時間帯に患者の様々な相談等に応えることが可能となっている(薬局の調剤基本料の加算である基準調剤加算について、現状で基準調剤加算1又は2を取得する薬局数は約3万施設と、全薬局数の半数以上を占めるに至っている。)。

〇具体的には、まず、開局時間については、医療機関を受診した患者が薬をスムーズに受け取れるよう、少なくとも、特定の医療機関のみに合わせるのではなく、地域に所在する医療機関全体の診療時間に合わせて薬局が開局していることが必要となる。
このため、薬局は、原則として平日の開局日には連続して開局(午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以上)するほか(「薬局の求められる機能とあるべき姿」(平成26年1月日本医療薬学会公表)においては、「近隣の医療機関にあわせた開局時間では、地域における薬局としての必要な機能を果たすことが困難であるため、(中略)原則として、薬局は、午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以上連続して開局していること。」とされている。)、地域の医療機関全体の診療時間やその薬局の機能(例えば、下記(5)①の健康サポート機能を有する薬局であれば、地域住民の健康相談等に対応するため、土日にも一定時間開局していることが望ましい。)に応じて開局時間を設定することが望ましいものと考えられる。

〇また、夜間・休日であっても、子どもを持つ親や、妊娠中・授乳中の女性などを中心に、薬の副作用や飲み間違い、服用のタイミング等に関する電話相談のニーズは高い。このため、開局時間外にも随時電話相談を行えるよう、当該患者の状態を把握しているかかりつけ薬剤師(かかりつけ薬剤師が対応できない時間帯がある場合にはかかりつけ薬剤師と適切に情報共有している薬剤師を含む。)が相談等に対応できるようにすることが必要である。

〇さらに、夜間においても、例えば在宅患者の症状が悪化した場合など、緊急に調剤を行うことが必要な場合に必要となる対応を行う機能が求められる。

◯一方、在宅患者への対応としては、入院から外来、施設から在宅への流れの中、認知症患者や医療密度の高い患者にとっては、在宅での薬学的管理が受けられることが今後ますます必要となることから、かかりつけ薬剤師・薬局においては、服薬アドヒアランス(「服薬アドヒアランス」とは、患者自身が服薬治療への積極的な参加を行い、理解して薬を服用すること。)の向上や残薬管理等の業務を始めとして、在宅対応に積極的に関与していくことが必要となる。

〇その際、24時間調剤や在宅対応について、かかりつけ薬局単独での実施が困難な場合には、地区の薬剤師会が主導的な役割を発揮するなどして、近隣の薬局との連携体制の構築や、地区又は広域の薬剤師会のバックアップにより輪番で対応することが考えられる。ただし、この場合でも、単に対応可能な旨を標榜するのみならず、定期的に自局で24時間調剤・在宅対応を行うことが求められる。

〇さらに、へき地等の薬局で、近隣に他の薬局がなく、薬局間の連携を図ることが極めて困難な場合には、患者の在宅における状況の確認や当該薬局が対応困難な時間帯における患者からの相談の受付等に当たって、地域包括支援センターや訪問看護ステーション等とも連携するといったように、地域包括ケアシステムの中で柔軟な対応を図ることが必要となる。

◯薬局の中には、開局時間外の対応や在宅業務の体制の整備を行っているものの、実際には在宅対応を行っていないところも存在している。しかしながら、薬局における医療機関や訪問看護ステーションとの連携体制の整備状況や、介護支援専門員、訪問看護師との連携の状況などを見ても、薬局が地域包括ケアシステムにおいて役割を果たすためには、在宅対応を実際に行っていることが重要であることは明らかであり、単に体制が整備されているだけでは不十分であることに留意する必要がある。

例えば、「地域包括ケアシステムにおける薬局・薬剤師による薬学的管理及び在宅服薬支援の向上及び効率化のための調査研究事業報告書」(平成27年3月)によると以下のとおり。

・基準調剤加算の届出状況について、在宅対応を実施している薬局では「基準調剤加算2」(在宅を行っている医療機関と訪問看護ステーションとの連携等が要件となっている)を取得している割合が31.9%(非実施薬局は1.6%)
・介護支援専門員との在宅患者に係る日常的な情報交換の状況について、「頻繁にしている」、「必要に応じてしている」が、在宅対応を実施している薬局では58.3%(全体では18.7%)
・訪問看護師との在宅患者に係る日常的な情報交換の状況について、「頻繁にしている」、「必要に応じてしている」が、在宅対応を実施している薬局では47.2%(全体では15.6%)。

③かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化
◯かかりつけ薬剤師は、医師の処方内容をチェックし、適切に調剤を行うが、処方箋に疑義がある場合は、処方医に対して疑義照会を行うことをはじめとして、患者とのやりとりを通じて入手した情報をもとに、必要に応じ、処方医に対して処方提案を実施することが必要である。
他方、かかりつけ薬局には、かかりつけ薬剤師がこうした活動を円滑に行えるよう、医療機関等との連携体制を備えておくことが求められる。

◯また、かかりつけ薬剤師は、調剤後も患者の状態を継続的に把握し、薬学的専門性の観点から気がついたことを含め服薬情報や副作用等の情報について、処方医へのフィードバックを行うとともに、飲み残しがある場合には残薬管理を行ったり、処方の変更等を提案することが必要である。

◯この他、要指導医薬品等や健康食品の購入目的で来局した利用者からの相談はもとより、地域住民からの健康に関する相談に適切に対応し、そのやり取りを通じて、必要に応じ医療機関への受診や健診の受診勧奨を行うことや、地域の社会資源等に関する情報を十分把握し、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションなどの地域包括ケアの一翼を担う多職種と連携体制を構築していることが重要である。

(5)患者等のニーズに応じて強化・充実すべき2つの機能

①健康サポート機能
〇「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくりとして、「薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する。」と示された。

〇「日本再興戦略改訂2014-未来への挑戦-」(平成26年6月24日閣議決定)の中短期工程表においても、2015年度における「薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進」と「充実した相談体制や設備などを有する薬局を住民に公表する仕組みの検討」が明記されている。

◯昨今では、医療機関の周りのいわゆる門前薬局を中心に、調剤に偏重し、要指導医薬品等や衛生材料等を取り扱わない薬局が多いとの指摘もあるが、上記の趣旨を踏まえ、一定の薬局においては、かかりつけ薬剤師・薬局としての基本的な機能に加え、地域住民による主体的な健康の維持・増進を支援する機能(健康サポート機能)の発揮が期待される。

〇今後、かかりつけ薬剤師・薬局としての機能に加えて積極的な健康サポート機能を有する薬局について、「健康サポート薬局」として住民に公16表する仕組みを設けることで、薬局の積極的な取組を後押ししていく(健康サポート薬局の具体的な基準や、公表の仕組みについては、「健康サポート薬局のあり方について」(平成27年9月健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会報告書)を参照のこと)。

◯健康サポート薬局では、具体的には、以下のような取組を積極的に実施することになる。

・地域住民による主体的な健康の維持
・増進を積極的に支援するため、医薬品等の安全かつ適正な使用に関する助言を行う。
・健康の維持・増進に関する相談を幅広く受け付け、必要に応じ、かかりつけ医を始め適切な専門職種や関係機関に紹介する。
・地域の薬局の中で率先して地域住民の健康サポートを積極的かつ具体的に実施し、地域の薬局への情報発信、取組支援等を実施する。

◯また、健康サポート薬局には、以下のようなソフト面・ハード面を含めた要件を満たすことが求められる。

ア関係機関との連携体制
・要指導医薬品等に関する相談を含め、健康の維持・増進に関する相談を受けた場合に、利用者の了解を得た上で、かかりつけ医と連携し、受診勧奨に取り組むこと
・上記のほか、健康の維持・増進に関する相談に対し、あらかじめ連携体制を構築した関係機関への紹介に取り組むこと

医療機関、地域包括支援センター、訪問看護ステーションのほか、健診や保健指導の実施機関、市町村保健センターその他の行政機関、介護保険法における介護予防・日常生活支援総合事業の実施者等が想定される

イ人員配置・運営
・相談対応や関係機関への紹介等に関する研修を修了し、一定の実務経験を有する薬剤師が常駐していること
・平日の開局日に連続して開局していることに加え、土日どちらかにも一定時間開局していること・地域住民の健康サポートに関して具体的な取組(薬剤師のお薬相談会、健診の受診勧奨、認知症の早期発見、管理栄養士の栄養相談会等が想定される)を行っていること

ウ医薬品等の取扱い
・設備・要指導医薬品等、衛生材料、介護用品等について、利用者自らが適切に選択できるよう供給機能や助言の体制を有していること。
その際、かかりつけ医との適切な連携や受診の妨げとならないよう、適正な運営を行っていること
・薬局内にプライバシーに配慮した相談窓口を設置していること
・健康サポート機能を有する薬局である旨や健康サポートの具体的な内容を薬局内外に表示していること

②高度薬学管理機能

〇上記(3)で示したとおり、かかりつけ薬剤師・薬局は、個々人のニーズ等に応じて患者が選択するものであり、がんやHIV、難病のように、治療薬について、致死的な副作用のコントロールや服薬アドヒアランス、併用薬との相互作用を含む副作用や効果の発現状況に特段の注意を払う必要がある疾患を有する患者においては、専門的な薬物療法を提供可能な体制を構築している薬局を、かかりつけ薬局として選択する場合もあると考えられる。

◯こうした薬局においては、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加え、上記の「専門的な薬物療法を提供可能な体制」、すなわち、学会等が提供する専門薬剤師のような、高度な知識・技術と臨床経験を有する薬剤師による高度な薬学的管理ニーズへの対応を図る機能(高度薬学管理機能)を発揮することが必要となる。

◯具体的には、がんやHIV、難病のような疾患を有する患者に対して、あらかじめ医療機関との間で対応要領を定め、次のような高度な薬学的管理ニーズへの対応を行うこと等が想定される。

・抗がん剤服用時などに、発熱等の副作用が生じた際に、担当医への受診などの対応について助言する。
・抗HIV薬服用患者の場合に、他の併用薬等の情報をもとに、適切な抗HIV療法を選択できるよう支援する。

〇高度薬学管理機能を有する薬局においては、専門医療機関とも連携を保ちながら、医師の処方意図を正確に理解した上で、患者に対する適切な薬学的管理を行うとともに、医療機関へ情報をフィードバックできる体制を構築するべきであり、そのためには、医療機関と共同で新たな治療薬や個別症例等に関する勉強会を定期的に開催するといった取組が望まれる。

◯また、かかりつけ薬剤師には、薬物療法に係る最新の知識を得るため、研修等を通じた生涯学習に取り組むことが求められるが、高度薬学管理機能を発揮するためには、学会等が提供する専門薬剤師の認定の仕組みなども活用し、より高度な知識や技能の修得を目指すことが望まれる。

(6)かかりつけ薬剤師としての役割の発揮に向けて
◯上記(4)(5)で示したかかりつけ薬剤師の役割を踏まえれば、薬剤師は、従来の対物業務から対人業務へとシフトを図ることが必要である。
これまでは、調剤室での調製等、患者とは直接接しない業務が中心であった。

しかしこれからは、患者が医薬分業のメリットを実感できるよう、処方内容のチェック、多剤・重複投薬や飲み合わせの確認、医師への疑義照会、丁寧な服薬指導、在宅対応も通じた継続的な服薬状況・副作用等のモニタリング、それを踏まえた医師へのフィードバックや処方提案、残薬解消などの対人業務を増やしていく必要がある。

また、在宅医療の現場など薬局外での活動や、地域包括ケアにおける取組も求められる。このため、薬剤師が対人業務においてより専門性を発揮できるよう、業務の効率化を図るなど薬剤師・薬局業務の見直しを併せて行う必要がある。

◯また、患者・住民が、安心して薬や健康に関する相談に行けるようにするには、患者の心理等にも適切に配慮して相談に傾聴し、平易でわかりやすい情報提供・説明を心がける薬剤師の存在が不可欠であり、かかりつけ薬剤師には、こうしたコミュニケーション能力を高める取組が求められる。
*平成25年の薬剤師法改正により、薬剤師に対する調剤時の患者等への情報提供義務に加え、薬学的知見に基づく服薬指導義務が導入された(薬剤師法第25条の2)

◯薬剤師が、こうした対人業務に関する専門性やコミュニケーション能力を向上させ、かかりつけ薬剤師としての役割を果たせるよう、医薬関係団体や学会等が連携をしながら、必要な研修の機会を積極的に提供することが求められる。

また、医療機関において、薬局薬剤師が研修を受ける機会が提供されることも重要である。他方、薬剤師自身も、高い職業意識と倫理観を持ち、こうした研修の機会や(公社)薬剤師認定制度認証機構が認証する団体や大学などが提供する種々の薬剤師研修認定制度等を活用して、常に自己研鑽に励み、最新の医療及び医薬品等の情報に精通するなど専門性を高めていく必要がある。

〇また、薬局の薬剤師が、処方内容の的確なチェックや医師への疑義照会、服薬指導、副作用等のモニタリング、それを踏まえた医師へのフィードバックや処方提案等をより効果的に行うためには、患者の同意の下、医療機関と薬局の間で、情報提供文書の使用、処方箋・お薬手帳への記載等を通じ、臨床検査値や疾患名等の患者情報の共有を図る取組を更に進めることが必要である。

*「平成26年度医療機関における医薬品安全性情報の入手・伝達・活用状況等に関する調査」(PMDA)によると、51.2%の病院において、院外薬局に対して臨床検査値等の検査結果や疾患名等の患者情報の提供が行われている

〇この他、薬剤師が適切に業務を行うためには、薬局の管理薬剤師が、保健衛生上支障を生ずる恐れがないように、勤務薬剤師の監督や医薬品の管理などの薬局業務の適正な運営に努めることや、薬局開設者が管理薬剤師の意見を尊重し、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に努めることが求められる。
また、薬局の薬剤師は、医薬品に関する安全性情報等を含め医薬品の最新情報について迅速な情報収集に努めることも必要である。

「医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)」を利用することにより、新たに発出された医薬品・医療機器等の重要な安全性情報を迅速に入手することができる。https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medi-navi/0007.html

2 薬局再編の全体像

(1)現在の薬局の概況
◯医薬分業の進展を背景に、全国の薬局数はほぼ一貫して増加しており、平成25年末時点では約57,000施設となっている。
人口10万人あたりの薬局数は44.8で、都道府県別にみると、佐賀県が62.9と最も多く、次いで山口県が58.2、広島県が57.3となっている。一方、福井県が34.5と最も少なく、次いで京都府、奈良県が36.7であり、人口あたりの薬局数の都道府県格差は最大1.8倍となっている28。

◯薬剤師については、薬学部の定員増等を背景に増加しており、平成24年時点で28.0万人となっているが、その勤務先については、薬局の従事者が15.3万人、病院・診療所の従事者が5.3万人、その他が7.4万人となっており、中でも薬局の従事者の占める割合が年々高くなっている29。

また、医療技術の高度化、医薬分業の進展等に伴い、平成18年度より、薬剤師養成のための薬学教育は学部の修業年限が4年から6年に延長されている。

この中で、実務実習の拡充(6か月程度)や医療薬学教育の充実が図られ、患者やかかりつけ医を始めとした多職種との積極的なやりとりを通じて地域で活躍する薬剤師が輩出されている。

〇薬局を立地上の特性から見ると、住宅街や商店街など街中に所在し、様々な医療機関からの処方箋を応需する薬局がある一方で、病院や診療所の近隣に立地し、これらの特定の医療機関からの処方箋を応需するいわゆる門前薬局が存在する。

〇門前薬局にも、診療所に対して1つ存在するマンツーマン薬局や、大病院の前で複数の店舗が林立しているものなど、色々なパターンがある。がんやHIVなどの専門医療機関に対応し、高度な薬学管理機能を果たしている薬局も存在するが、その一方で、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導という医薬分業のメリットが十分に感じられない薬局も多いという国民からの指摘もある。

〇また、患者・住民からの相談を受けて、役所等の相談窓口、保健所、福祉事務所、地域包括支援センター等への連絡・紹介を行っている薬局も少ない現状にある。

*「平成25年度衛生行政報告例」(厚生労働省)
*「平成24年医師、歯科医師、薬剤師調査」(厚生労働省)
*「薬局における健康情報提供状況等に関する実態調査」(平成26年度厚生労働科学研究)によれば、過去半年間に、利用者本人又は家族等からの健康や介護等に関する相談を受け、適当な行政・関係機関(役所等の相談窓口、保健所、福祉事務所、地域包括支援センター等)への連絡・紹介を行った実績がある薬局が38.6%に対し、実績がない薬局が60.8%であった。また、「地域包括ケアシステムにおける薬局・薬剤師による薬学的管理及び在宅服薬支援の向上及び効率化のための調査研究事業」(平成26年度老人保健健康増進等事業)によれば、実績がある薬局が23.5%に対し、実績がない薬局が67.3%であった。

(2)2025年までに目指す姿

〇急速な高齢化が進む中で、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年には、75歳以上人口の占める割合は18.1%に上昇し、認知症高齢者の数も700万人に達すると見込まれている。

* 「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」(平成 27 年厚生労働省)

〇こうした中、2025年を目途に、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができることを目的として、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が推進されている。

〇薬局においても、地域における既存の役割等も生かし、薬物療法に関して、こうした地域包括ケアシステムの一翼を担うことが重要であり、2025年までに、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指す。

〇また、薬剤師についても、第1の1(6)で示したとおり、2025年までのなるべく早い時期に、従来の対物業務から、処方内容のチェック、多剤・重複投薬や飲み合わせの確認、医師への疑義照会、丁寧な服薬指導、在宅対応も通じた継続的な服薬状況・副作用等のモニタリング、それを踏まえた医師へのフィードバックや処方提案、残薬解消など、患者が医薬分業のメリットを実感できる対人業務へとシフトが進むことが期待される。

(3)2035年までに目指す姿

◯さらに、今から20年後である2035年に向けては、「保健医療2035提言書」(平成27年6月)にも示されているとおり、更に少子高齢化や人口減少が加速し、地方によっては、生活インフラが維持できなくなったり、財政困難に直面することが予測される。

同時に、都市部においても急速な高齢化が進み、それを支える人材の確保が重要な課題となると見込まれる。
〇この時期には団塊の世代が85歳以上を迎えることになるが、加齢に伴うリスクが大きい認知症高齢者の数は800~900万人に達すると見込まれ32、また、現状で85歳以上の高齢者の半数以上が要介護状態にあること33を踏まえると、高齢者の多くが地域の身近な医療機関を受診したり、在宅医療を受けることが想定される。

〇「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法第83号)」(医療介護総合確保推進法)に基づき、都道府県においては、高度急性期、急性期、回復期、慢性期といった医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を定める「地域医療構想」を策定することとされている。

*地域医療構想は、法律上は2018年3月までに策定することとされているが、平成28年半ば頃までの策定が望ましいとされている。

加えて、外来機能についても、医療機関間の適切な役割分担を図るため、大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診はかかりつけ医に相談することを基本とするシステムの普及、定着を図ることとされており、2035年には、こうした医療提供体制の構築に合わせて、患者が地域において医療を受けることが多くなると想定される。

*例えば、「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」(平成25年8月)P.35を参照のこと。
また、平成26年度の診療報酬改定では、紹介率・逆紹介率の低い大病院における処方料等の適正化を図るため、大病院の紹介率・逆紹介率の基準の引上げが行われている。

*「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究)。

また、上記資料によると、平成24年における年齢階級別の認知症有病率は次のとおり。

年齢階級 65歳以上70歳未満 70歳以上75歳未満 75歳以上80歳未満 80歳以上85歳未満 85歳以上
男性/女性 1.9/2.4% 4.3/5.4% 9.6/12.0% 21.2/26.5% 58.9%33

平成27年3月末における高齢者の要介護の割合(要介護(要支援)認定者数(厚生労働省「介護保険事業状況報告」)/年齢階層別の人口(総務省「人口推計」概算値))は次のとおり。

65歳以上70歳未満 70歳以上75歳未満 75歳以上80歳未満 80歳以上85歳未満 85歳以上
2.8% 6.2% 13.7% 29.0% 58.1%

〇こうした中で、薬局についても、中長期的な対応として、大病院に隣接した薬局を中心に、建替え時期等を契機に立地も地域へ移行し、少なくとも患者に身近な日常生活圏域単位36で地域包括ケアの一翼を担える体制が構築されることが期待される。

*地域包括ケアシステムでは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区(約1万か所))を単位として想定している。

(4)薬局間の連携・再編

◯上記の目指す姿を踏まえると、今後、各薬局には、2025年までに1(4)の「かかりつけ薬剤師・薬局としての機能」を果たすことが求められるが、薬局の置かれた現状に照らすと、その実現は決して容易ではない。

◯古くから地域で住民と顔の見える関係を構築している薬局であっても、複数の薬剤師が確保できないようところでは、例えば24時間対応・在宅対応等について単独で対応することは困難であり、自局だけでは、かかりつけ薬局としての全ての機能を発揮することが困難である場合も想定される。

他方で、薬剤師が相当数配置されている大規模な薬局であっても、目の前の大病院からの処方箋を受け付けるだけであったり、薬剤師が頻繁に異動したりするなど、地域住民や地域の関係機関との関係が希薄な場合もある。

◯このように、規模・来歴・立地も多様な薬局が、かかりつけ薬局の機能を発揮し、地域包括ケアの一翼を担えるようにしていくためには、自局単独で機能の充実・強化を図ることだけでなく、地域の複数の薬局が連携して24時間対応における輪番体制を構築するなど、その地域の特性に応じた適切な連携体制を構築していくことも有効である。

その際には、地区の薬剤師会等が主導的な役割を発揮することが期待される。

◯また、いわゆる門前薬局であっても、規模の大小にかかわらず、1(4)の「かかりつけ薬剤師・薬局としての機能」を備えた上で、医療機関との連携強化や薬剤師への専門的な研修機会の提供等を行い、1(5)②の高度薬学管理機能を強化すること等により、患者のニーズに真に応えられる薬局として活躍することも考えられる。
他方、地域にある薬局でも、近年の医療ニーズの高度化を踏まえれば、無菌調剤室の共同利用等の連携も図りつつ、上記のような高度薬学管理機能の発揮が求められる機会も想定される。

*平成24年8月の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)の改正により、無菌調剤室を有しない処方箋受付薬局で調剤に従事する薬剤師が、無菌調剤室提供薬局の無菌調剤室を利用して製剤処理を行うことが可能となった。

◯各薬局が本ビジョンで示したかかりつけ機能を発揮するためには、薬剤師の配置や管理体制の充実、地域との連携体制の強化が求められる。
このため、今後の薬局再編の過程において、地域において患者ニーズに真に応えられる薬局として存続するためには、各薬局は、自局でその機能を充実させること、又は、自局のみでかかりつけ機能を果たせない場合には地域で連携して対応していくことにより、かかりつけ薬局の機能を果たしていかなければならない。

第3 かかりつけ薬剤師・薬局の実現に向けた主な対応

1 KPIを活用したPDCAサイクルの実施

〇「規制改革に関する第3次答申」等においては、PDCAサイクルの推進について、以下のような内容が盛り込まれた。

・医薬分業の政策効果について、医薬品による治療の安全性向上と保険財政の効率化の観点から、定性・定量両面で検証を行い、検証結果等を踏まえて、今後の医薬分業推進における政策目標や評価指標を明確化する

・ 政策目標の達成状況を適切に管理し、政策の継続的な改善を図るため、PDCAサイクルでの政策評価を実施し、診療報酬改定等の際に政策評価結果を活用し、制度の見直しに反映させる

◯医薬分業の進展の評価については、これまでは専ら処方箋受取率という単一の指標によって評価を行ってきたが、今後は、医薬分業の量から質への転換を見据え、かかりつけ薬剤師・薬局の普及を目指した新たな指標(KPI:KeyPerformanceIndicator)を設定して政策評価を実施していくことが必要である。

◯このため、かかりつけ薬剤師・薬局が果たすべき役割に沿って、測定しやすい指標の選定という観点から、例えば、次のような医薬分業の質を評価できる指標について今後、具体的に検討し、毎年行われる厚生労働省による業績評価においてモニタリングを実施することとする。

①かかりつけ薬剤師・薬局の数
②疑義照会の実施率、件数(処方変更にまで結びつけたか等、疑義照会の内容についても分析)
③24時間対応、在宅対応(医療保険・介護保険)の実施率、件数
④残薬解消の実施率、件数
⑤後発医薬品の使用割合への影響
〇また、診療報酬については、改定の都度、中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬改定結果検証部会でその効果の検証を行っており、この仕組みを引き続き有効に活用する。

2 ICTを活用した服薬情報の一元的・継続的把握の推進

(1)服薬情報の管理におけるお薬手帳の意義・役割

◯第2の1(3)や(4)①で示したとおり、服薬情報の一元的・継続的把握には、患者が自らかかりつけ薬剤師・薬局を選択し、そのかかりつけ薬剤師・薬局が、主治医との連携や患者に対する丁寧なインタビュー等を通じて、要指導医薬品等を含めた服薬情報を把握することが基本となる。

〇一方で、患者によっては、かかりつけ薬局以外の薬局で調剤を受ける場合もあり得ることから、かかりつけ薬局における情報管理を補完するものとしてお薬手帳の活用を進めることにより、患者と薬剤師が顔の見える関係で、服薬情報に基づく効果的な情報提供や服薬指導が行われることが期待される。

◯お薬手帳は、PHR(PersonalHealthRecord)の一種として、患者の薬剤服用歴を手帳に記載し、経時的に管理することで、患者が自らの薬に関する記録を一元管理し、自らの健康管理に役立てることができる患者自身のための個人情報を記録するツールである。

また、医師や薬剤師が患者の服用歴を確認し、医薬品を処方又は調剤することにより、相互作用の防止や副作用の回避等に役立てることができる。

平成23年の東日本大震災の際に、カルテや薬歴等の医療インフラが大きな被害を受ける中、患者がお薬手帳を携行することで、日頃服用している薬の情報を医療関係者が確認でき、薬の継続投与につながったなどの事例も報告されている。

◯さらに、お薬手帳は、患者、医療機関、薬局が、服薬の状況や相互のやりとりを共有する手段としての意義も大きいことから、その意味でも積極的な活用が期待される。

◯こうした経緯から、お薬手帳については、調剤報酬上でも薬学管理料の評価の対象に加えられている。

*平成26年診療報酬改定後の制度では、薬剤服用歴管理指導料において、お薬手帳に基づく薬剤情報提供が行われた場合には1処方箋当たり41点(410円)が算定されるのに対し、行われなかった場合には34点(340円)が算定される仕組みとなっている。

◯他方、お薬手帳については、必ずしも服薬指導の際に十分利用されていなかったり、複数冊のお薬手帳に分けて服薬情報が管理され、服薬指導に活用されていない実態があるとの指摘も強い。このため、お薬手帳の一冊化・集約化などの取組を行うことが必要であることは、先に指摘したとおりである。

*例えば、「薬局のかかりつけ機能に係る実態調査報告書」(平成 23 年度保険局医療課委
託調査)によれば、調剤目的で薬局を訪れる患者のうち、お薬手帳を「来局時には必ず
持参」する人の構成比の平均は 32.0%、「来局時には大体持参」する人は 18.1%にとどまった。

(2)電子版お薬手帳の活用推進

◯近年、PCやスマートフォンの普及等ICT化の進展に伴い、医薬関係団体、調剤チェーン、民間のICT企業等で様々な仕様の電子版お薬手帳システムが開発され、普及が進められており、「日本再興戦略改訂2015」(平成27年6月30日閣議決定)においても、医療・介護等分野におけるICT化の一環として、以下の内容が盛り込まれている。

・患者自身が服薬情報をいつでも、どこでも入手し、薬局薬剤師等から適切な服薬指導等を受けられるよう、本年度中に電子版お薬手帳の更なる機能性の向上について検討を行い、2018年度までを目標とする地域医療情報連携ネットワークの全国各地への普及と併せて国民への普及を進める。

〇電子版お薬手帳については、紙のお薬手帳に比べ、
①携帯電話やスマートフォンを活用するため、携帯性が高く、受診時にも忘れにくい
②データの保存容量が大きいため、長期にわたる服用歴の管理が可能
③服用歴以外にも、システム独自に、運動の記録や健診履歴等の健康に関する情報も管理可能といったメリットがあり、患者の属性や希望に応じて、紙のお薬手帳とともに、その普及を進める必要がある。

◯また、平成24年には、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)が、電子版お薬手帳の標準データフォーマット仕様書を策定し、以後多くのお薬手帳がこのフォーマットに準拠している。

◯他方で、一人の患者が紙のお薬手帳を複数冊持っていることがあるのと同様、電子版お薬手帳についても、異なる開発主体のシステムでバラバラに服薬情報が管理されるといった状況が懸念される。

今後は、紙のお薬手帳を一冊化・集約化する取組に合わせて、一つの電子版お薬手帳で過去の服用歴を一覧できる仕組みを構築するとともに、異なる開発主体のシステムが利用される環境下でも医薬関係者に対して服薬情報の共有化が図られるような取組を進めることが必要である。
また、電子版お薬手帳の普及に当たっては、個人情報の保護にも十分に留意する必要がある。

〇さらに、2018年を目途とする地域医療情報連携ネットワークの普及により、診断情報・検査情報も含めた患者情報について、医療関係者間での共有が進むことが期待される。

*「日本再興戦略改訂2015」においては、「医療等分野でのデータ電子化・標準を通じて、検査・治療・投薬等診療情報の収集・利活用を促進する。また、患者利便性向上などの観点から、医療等分野の番号を活用した医療介護現場での情報連携促進を図る。」、「このため、2018年度までを目標に地域医療情報連携ネットワーク(病院と診療所間の双方向連携を含む。)の全国各地への普及を実現する」旨盛り込まれている。

地域医療情報連携ネットワークで共有される患者情報には、服薬情報等お薬手帳に掲載される情報も含むことが想定されることから、将来的には、情報ネットワーク上の一部の情報を患者がお薬手帳として携行するといった利用方法も考えられる。

電子版お薬手帳の普及を進める際には、今後の情報ネットワークの普及も見据え、患者が全国どこへ移動しても医薬関係者が必要な情報を共有できるよう、データフォーマットの統一化などのインフラ整備について、医薬関係団体を始めとするステークホルダーが引き続き緊密に連携する必要がある。

*厚生労働省では、電子版お薬手帳の現状等を把握し、電子版お薬手帳のあり方等を検討するため、今年度、「電子版お薬手帳の適切な推進に向けた調査検討事業」を実施している。

第4ビジョン実現のための主な政策

1制度

◯医薬分業の意義や、かかりつけ薬剤師・薬局を選ぶ必要性等について、「薬と健康の週間」(毎年10月17日~23日)等の機会を活用し、医薬関係者の連携の下、国民にわかりやすく周知する。

◯健康サポート薬局の公表制度の創設や、薬局における積極的な掲示の推進などを通じ、各薬局が提供できる機能・サービスをわかりやすく情報発信する。

〇薬局におけるタイムスタディ調査を実施し、調剤技術の進展、機械化の状況など、最新の状況に応じた薬剤師業務の実態を把握する。また、薬局の再編の状況や薬剤師業務の対人業務へのシフトの状況を踏まえつつ、薬剤師の将来需給見通しを適時作成する。

〇かかりつけ薬剤師・薬局の普及定着状況も見据えつつ、医薬品医療機器法に定める遵守事項その他の基準の見直しや、これからの患者本位の医薬分業を見据えた「かかりつけ薬剤師・薬局の運営ガイドライン(仮称)」の策定について検討する。

◯紙のお薬手帳の一冊化・集約化を進めるとともに、電子版お薬手帳についても過去の服用歴を一覧できるようにするなど、服薬情報の一元的把握という本来の目的が果たされるよう機能の向上を図り、地域医療情報連携ネットワークの整備に併せて、その普及を進める。

2予算・税制

◯かかりつけ薬局の機能強化に向け、
・24時間対応や在宅対応等における地域の薬局間での連携体制構築のための取組・健康サポート機能の更なる強化に向けた先進的な取組など、地域におけるモデル的な取組を支援するほか、本ビジョン実現のためのロードマップや具体的な施策を講じる上での留意点等を検討する。

◯健康サポート薬局に対する税制措置を検討する。

3診療報酬

〇調剤報酬については、「経済財政運営と改革の基本方針2015」において患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行うこととされ、また、「規制改革実施計画」においてその在り方について抜本的な見直しを行うなどとされていることに基づき、患者が真の医薬分業のメリットを感じられるよう、本ビジョンで示した方向性も踏まえ、今後、中医協で具体的に議論する。

第5おわりに

〇薬剤師・薬局の基本理念や今後のあり方を示した文書としては、これまで「薬局グランドデザイン」(平成9年日本薬剤師会)や「薬剤師の将来ビジョン」(平成25年日本薬剤師会)、「薬局・薬剤師の求められる機能とあるべき姿」(平成26年日本医療薬学会)、「薬剤師の職能将来像と社会貢献」(平成26年日本学術会議薬学委員会チーム医療における薬剤師の職能とキャリアパス分科会)などが挙げられるが、今回、厚生労働省として初めて、かかりつけ薬剤師・薬局の機能や、2035年までの長期の姿を見据えた薬局の再編の姿について、本ビジョンを取りまとめた。

〇今後本ビジョンに基づき、患者本位の医薬分業がかかりつけ薬剤師・薬局によって実施されるよう、すべての薬局関係者が、医薬分業の原点に立ち返り、患者本位の分業を実現するべく、まずは各地域の地域包括ケアシステムの一員となって、かかりつけ医を始めとした多職種・関係機関との信頼関係を培いながら、真摯な取組を行うことが求められており、この点について、薬局関係者において十分認識する必要がある。

特に、第2の1(3)でも示したとおり、今後、医薬関係団体や保険者、行政が連携しつつ、患者・住民に対し、医薬分業の意義やそのメリットを享受するためにかかりつけ薬剤師・薬局が必要である旨を積極的に周知するとともに、患者・住民が納得の上でサービスを受けられるような取組を進めることが期待される。
◯厚生労働省としても、かかりつけ薬剤師・薬局の機能強化や薬局再編のための支援を進めるとともに、PDCAサイクルの下でその進捗を適切に評価すること等を通じ、患者・住民から真に評価される医薬分業の速やかな実現を目指していく。

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